世界的な食品・飲料水メーカであるペプシコ【PEP】を分析してみたいと思います。
【PEP】ペプシコの概要
(出典:PepsiCo lnc)
ペプシコは米国の食品・飲料水メーカーであり、炭酸・清涼飲料水飲料、スナック菓子、シリアルを世界中で販売しています。
飲料の主なブランドは「ペプシコーラ」、「マウンテン・デュー」、「ゲータレード」、「トロピカーナ」などの清涼飲料水です。スナック菓子としては「ドリトス」、「チートス」チップス、シリアルの「ライフ」などがあります。
ペプシコは米国株の中でもコカ・コーラと並ぶ投資の王道銘柄です。
ペプシコは連続増配年数25年以上の配当貴族でもあり、安定した配当支払いと連続増配を望む投資家に選好されています。
企業情報
会社英名 | 会社英名 PepsiCo lnc |
本社所在地 | 本社所在地 アメリカ合衆国 アトランタ |
設立年月日 | 設立年月日 1919年9月 |
従業員数 | 従業員数 264,000人 |
上場市場 | 上場市場 NASDAQ(ナスダック証券取引所<2017年12月より>) |
S&P格付け | S&P格付け AA- |
時価総額 | 時価総額 159.04B(同業種内2位) |
同業他社
(出典:「finviz」)
Market Cap.=現在の市場価格x発行済株式数で求めます。時価総額(市場での企業規模)を表します。
P/E=Current Market Price ÷ Earnings Per Share (EPS))で求めます。
企業の現在の株価と株当たり利益比率を示し、P / E値が低いということは株式がその利益よりも比較的安価であることを示します。たとえば、P / E値が5の場合、現在の価格が5年間の1株当たり利益の合計と等しいことを意味します。
P/FCF=Current Market Price ÷ Cash Flow per Shareで求めます。市場価格と年間フリーキャッシュフローの比率です。
growth past 5 years:過去5年間のEPS年間成長率です。
「Beverages – Soft Drinks」部門で時価総額で比べると、コカ・コーラが1位、ペプシコは2位となります。
1位 コカ・コーラ(アメリカ)
2位 ペプシ(アメリカ)
3位 モンスター・ベバレッジ(アメリカ)
4位 キューリグ・ドクター・ペッパー(アメリカ)
スクリーナは「finviz」というサイトで確認しました。スクリーナ方法については別途記事にしたいと思います。
ビジネスモデル
(出典 : PepsiCo, lnc. 2017年マニュアルレポート)
ペプシコ【PEP】の製品は飲料だけではなく、食品(Food)と清涼飲料(Beverage)が半々となっています。
また地域別売上高比率は米国(U.S.)と米国外(Outside U.S.)に分散され、バランスのとれた事業ポートフォリオになっています。
米国 :58%
米国外:42%
米国 :58%
米国外:42%
コカ・コーラとペプシコーラには強大なブランド力がありますが、生活必需品セクターは新しいブランドが育ちにくく市場環境です。
自社のブランド力を経営体質強化により維持しつつ、M&Aにより成長性のある飲料や食品ブランドを吸収して、マーケティングや宣伝広告を駆使して収益を生み出すブランドへと育ててしていくのが基本戦略となります。
この基本戦略を着実に実行できるかどうかが今後の成長の鍵を握ります。
ペプシコーラのコマーシャルです。こういうセンスがあるのもペプシコの強みの1つです。
コカ・コーラ社と同様に甘味炭酸飲料が消費者に敬遠されはじめていますが、ペプシコにはこれに対応しうる戦略があります。
嗜好品(Fun) :50%
健康品(Better Good) :50%
2006年→2017年にかけて健康食品の比率を上げる戦略を掲げています。
飲料だけではなく、食品ブランドも保有しているのが、ペプシコの最大の強みです。
財務表分析
売上高・営業利益率・純利益・ROE
年次報告(annual report)で年間の経営成績を確認してみます。
(出典 : PepsiCo, lnc. 2017年マニュアルレポート)
ペプシコの売上は11年から横ばい傾向にあります。
営業利益率は10年間、常に15%前後の高い水準を維持していますが、ライバルのコカ・コーラ社(20%前後)に比べると若干見劣りします。
ROE(純利益に占める自己資本の割合)は2012年から増加していましたが、2017年に自社株買による自己資本率の低下により減少しています。
ペプシコは生活必需品セクターらしい安定した経営成績を残しています。
本業で得た収益を表す。売上高の大きさは会社の事業規模を示します。
売上高からコスト(人件費、広告宣伝費等)を差し引いたもので、本業で稼いだ利益を表します。
経常利益に対して特別利益や特別損失を加算/減算し、そこからさらに税金を差し引いたもの。最終的に会社に残るお金を表します。
売上高と営業利益との割合で(営業利益÷売上高×100)で求めます。
ROE = 純利益 / 自己資本(Equity)で求めます。会社の収益性を表します。
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフロー、売上高FCFは安定した水準でプラス圏を維持しています。資本支出も安定しています。
潤沢なキャッシュフローにより株主還元が期待できます。
本業の収入と支出で得たキャッシュ量を示す数値で、合計額がプラスであれば、本業が順調であることを示します。
★営業CFがプラス > キャッシュ増加 > 財務CFがUP、投資CFがUP =>業績がUPする可能性
★営業CFがマイナス > 借入金増加 > 財務CFがDOWN、投資CFがDOWN=>業績がDOWNする可能性
営業キャッシュフロー+投資キャッシュフローで求めます。
★FCFがプラス > 借入金減少 > 経営良好
★FCFがマイナス > 借入金増加 > 経営悪化
IR情報の「Purchases of property, plant and equipment:有形固定資産の購入」の数値を「Net cash provided by operating activities:営業CF」から差し引いた値です。
FCF÷売上高x100で求めます。
バランスシート(BS)
自己資本比率は5年間で約55%低下しており、25%を下回っています。
自社株買いが原因と思われますので、特に心配はありません。
(一般に自己資本比率の平均は赤字企業で-4%、黒字企業で25%、優良企業(黒字企業中上位15%)で53%といわれています)
・資産合計(TOTAL ASSETS)
・流動資産 (TOTAL CURRENT ASSETS)
・固定資産 (資産合計(TOTAL ASSETS) – 流動資産(TOTAL CURRENT ASSETS))
・負債合計(TOTAL LIABILITIES AND EQUITY) ※資産合計と同じ
・流動負債 (TOTAL CURRENT LIABILITIES)
・固定負債(負債合計 – 流動負債 – 純資産)
・純資産(=株主資本) (EQUITY ATTRIBUTABLE TO SHAREOWNERS OF THE COCA-COLA COMPANY)
資本投下により会社の資産が生じるため、資産の合計値と負債・純資産の合計値は一致します。
株主還元指標(1株利益(EPS)+1株配当+増配率+配当性向)
1株利益(EPS)は2015年を除けば増加していますが、2017年に大きく下げています。これは税制改革に伴うコスト増によるものです。
配当は45年連続増配で右肩上がりで平均7%前後の増配率を維持しています。ここ10年で配当は約2倍に増加しています。
ペプシコは連続増配の配当貴族であり、安定した配当支払いと増配が魅力です。
ペプシコ(PEP)からの配当金受領報告はこちらヘ。
一株利益(EPS)に配当が近づいており、配当性向が近年上昇傾向にある点には注意が必要ですが、コカ・コーラ社に比べるとまだまだ増配余力があります。
1株当たり利益(円) = 当期純利益 ÷ 発行済株式総数。
1株に対して利益(当期純利益)がいくらあるのかを表します。
1株あたりの配当支払い額($)を表します。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100で計算します。配当性向は、その期の純利益から、いくら支払っているかをパーセンテージで表したものです。
(一株配当÷前年一株配当)-1 x 100で計算します。
チャート分析
10年チャート
5年チャート
ここ10年、5年の株価は2008年のリーマンショックと2018年の国債金利上昇により大きく下げていますが、上昇と下落を繰り返しながら、緩やかな右肩上がりのチャートとなっています。
やはり生活必需品セクターで飲料水、食品ともに強力なブランド力をもつペプシコは景気に左右されず比較的価格変動が少ない安定した銘柄です。
まとめ
2 事業ポートフォリオが飲料と食品が半々で多様性がある。
3 45年連続増配で7%前後の増配率を維持。(10年で配当は2倍)
4 コカ・コーラ社に比べるとまだまだ増配余力がある。
5 生活必需品セクター特有のM&Aによる成長性ブランドの取り込みとマーケティング・広告によるブランドの育成が事業の強化が基本戦略であり、今後も成長が期待できる。
管理人はチャンスがあれば積極的に買い増して行きたいと考えています。
オススメ度 ・・・★★★★☆ 星4つ
ライバルのコカ・コーラ社の銘柄分析はこちら。コカ・コーラ社は清涼飲料水のみの事業ポートフォリオでペプシコとは戦略が異なります。